ぶ[#「ぶ」に白丸傍点]」は「翫びし[#「びし」に白丸傍点]」と読ませなければ、結句が活きない。
場合によつては、推量の助動詞を使ふことがまた必要である。例へば、同じく唐詩選にある李益の※[#「さんずい+卞」、第3水準1−86−52]河曲を、岩波文庫本では、
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※[#「さんずい+卞」、第3水準1−86−52]水東流無限春 ※[#「さんずい+卞」、第3水準1−86−52]水東流す限りなきの春、
隋家宮闕已成塵 隋家の宮闕已に塵と成る。
行人莫上長堤望 行人長堤に上りて望むこと莫れ、
風起楊花愁殺人 風起れ[#「れ」に白丸傍点]ば楊花人を愁殺す[#「す」に白丸傍点]。
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と読ませてあるけれども、結句は「風起ら[#「ら」に白丸傍点]ば楊花人を愁殺せん[#「せん」に白丸傍点]」と読ませたいものである。
かうした例は、拾ひ出して来れば際限なくあるが、ここには今一つ、陸放翁の詞(これは詩でなく謂はゆる詩余である)を一首だけ掲げておく。この一首には丁度、推量の助動詞と過去動詞とを用ふべき句が、前後にふくまれてゐるのである。
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