渦巻《うずまき》の中に姿を隠しました。やがて若者は這《は》うようにして波打際にたどりつきました。妹はそんな浅みに来ても若者におぶさりかかっていました。私は有頂天《うちょうてん》になってそこまで飛んで行きました。
飛んで行って見て驚いたのは若者の姿でした。せわしく深く気息《いき》をついて、体はつかれ切ったようにゆるんでへたへたになっていました。妹は私が近づいたのを見ると夢中で飛んで来ましたがふっと思いかえしたように私をよけて砂山の方を向いて駈け出しました。その時私は妹が私を恨《うら》んでいるのだなと気がついて、それは無理のないことだと思うと、この上なく淋《さび》しい気持ちになりました。
それにしても友達のMは何所《どこ》に行ってしまったのだろうと思って、私は若者のそばに立ちながらあたりを見廻すと、遥かな砂山の所をお婆様《ばあさま》を助けながら駈け下りて来るのでした。妹は早くもそれを見付けてそっちに行こうとしているのだとわかりました。
それで私は少し安心して、若者の肩に手をかけて何かいおうとすると、若者はうるさそうに私の手を払いのけて、水の寄せたり引いたりする所に坐《すわ》りこんだま
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