尊さを多く認めないで、乱雑な成行きに委《まか》せやすい。所謂事業家とか、政治家とか、煽動家《せんどうか》とかいうような典型の人には、かかる傾向が極《きわ》めて多くあり易《やす》い。
全く実用のためにのみ造られた真四角な建築物一つにもそこに個性の表現が全然ないということは出来ない。然しながらその中から個性を、即ち愛を捜し出すということは極めて困難なことだ。個性は無意味な用材の為めに遺憾なく押しひしがれて、おまけに用材との有機的な関係から危く断たれようとしている。然し個性が全く押しひしがれ、関係が全く断たれてしまったなら、その醜い建築物といえどもそこに存在することは出来ないだろう。それは何といっても、かすかにもせよ、個性の働きによってのみその存在をつなぎ得るのだ。けれども若し私達の生活がかくの如きもののみによって囲繞《いにょう》されることを想像するのは寂しいことではないか。この時私達の個性は必ずかかる物質的な材料に対して反逆を企てるだろう。
かかる建築物の如きものが然しもっと見えのいい形で私達の生活をきびしく取り囲んでいることはないだろうか。一人の野心的政治家があるとする。彼は自己の野
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