に帰って見ると、ちょろちょろと燃えかすれた根粗朶《ねそだ》の火におぼろに照らされて、君の父上と妹とが炉縁《ろぶち》の二方に寝くるまっているのが物さびしくながめられる。一日一日生命の力から遠ざかって行く老人と、若々しい生命の力に悩まされているとさえ見える妹の寝顔は、明滅する炎の前に幻のような不思議な姿を描き出す。この老人の老い先をどんな運命が待っているのだろう。この処女《おとめ》の行く末をどんな運命が待っているのだろう。未来はすべて暗い。そこではどんな事でも起こりうる。君は二人の寝顔を見つめながらつくづくとそう思った。そう思うにつけて、その人たちの行く末については、素直な心で幸《さち》あれかしと祈るほかはなかった。人の力というものがこんな厳粛な瞬間にはいちばんたよりなく思われる。
 君はスケッチ帳を枕《まくら》もとに引きよせて、垢《あか》じみた床の中にそのままもぐり込みながら、氷のような布団《ふとん》の冷たさがからだの温《ぬく》みで暖まるまで、まじまじと目を見開いて、君の妹の寝顔を、憐《あわ》れみとも愛ともつかぬ涙ぐましい心持ちでながめつづける。それは君が妹に対して幼少の時から何かのおり
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