んしゃく》に昼間の疲労を存分に発して、目をとろんこ[#「とろんこ」に傍点]にした君の父上が、まず囲炉裏のそばに床をとらして横になる。やがて兄上と嫂《あによめ》とが次の部屋《へや》に退くと、囲炉裏のそばには、君と君の妹だけが残るのだ。
 時が静かにさびしく、しかしむつまじくじりじりと過ぎて行く。
 「寝ずに」
 針の手をやめて、君の妹はおとなしく顔を上げながら君に言う。
 「先に寝れ、いいから」
 あぐらのひざの上にスケッチ帳を広げて、と見こう見している君は、振り向きもせずに、ぶっきらぼう[#「ぶっきらぼう」に傍点]にそう答える。
 「朝げにまた眠いとってこづき起こされべえに」にっ[#「にっ」に傍点]と片頬《かたほお》に笑《え》みをたたえて妹は君にいたずららしい目を向ける。
 「なんの」
 「なんのでねえよ、そんだもの見こくってなんのたしになるべえさ。みんなよって笑っとるでねえか、※[#「※」は「ひとやね+サ」、75−9]《やまさ》の兄《あん》さんこと暇さえあれば見ったくもない絵べえかいて、なんするだべって」
 君は思わず顔をあげる。
 「だれが言った」
 「だれって‥‥みんな言ってるだ
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