くしを君はすぐ感じてうれしく思いながら、持って帰った漁具――寒さのために凍り果てて、触れ合えば石のように音を立てる――をそれぞれの所に始末すると、これもからからと音を立てるほど凍り果てた仕事着を一枚一枚脱いで、竈《かまど》のあたりに掛けつらねて、ふだん着に着かえる。一日の寒気に凍え切った肉体はすぐ熱を吹き出して、顔などはのぼせ上がるほどぽかぽかして来る。ふだん着の軽い暖かさ、一|椀《わん》の熱湯の味のよさ。
小気味のよいほどしたたか夕餉《ゆうげ》を食った漁夫たちが、
「親方さんお休み」
と挨拶《あいさつ》してぞろぞろ出て行ったあとには、水入らずの家族五人が、囲炉裏の火にまっかに顔を照らし合いながらさし向かいになる。戸外ではさらさらと音を立てて霰《あられ》まじりの雪が降りつづけている。七時というのにもうその界隈《かいわい》は夜ふけ同様だ。どこの家もしん[#「しん」に傍点]として赤子の泣く声が時おり聞こえるばかりだ。ただ遠くの遊郭のほうから、朝寝のできる人たちが寄り集まっているらしい酔狂のさざめきだけがとぎれとぎれに風に送られて伝わって来る。
「おらはあ寝まるぞ」
わずかな晩酌《ば
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