とをたてて、その足もとに行っては消え、行っては消えするのが見え渡る。
帆がおろされた。船は海岸近くの波に激しく動揺しながら、艫を海岸のほうに向けかえてだんだんと汀《みぎわ》に近寄って行く。海産物会社の印袢天《しるしばんてん》を着たり、犬の皮か何かを裏につけた外套《がいとう》を深々と羽織ったりした男たちが、右往左往に走りまわるそのあたりを目がけて、君の兄上が手慣れたさばき[#「さばき」に傍点]でさっ[#「さっ」に傍点]と艫綱《ともづな》を投げると、それがすぐ幾十人もの男女の手で引っぱられる。船はしきりと上下する舳《へさき》に波のしぶきを食いながら、どんどん砂浜に近寄って、やがて疲れ切った魚のように黒く横たわって動かなくなる。
漁夫たちは艪《ろ》や舵《かじ》や帆の始末を簡単にしてしまうと、舷《ふなべり》を伝わって陸におどり上がる。海産物製造会社の人夫たちは、漁夫たちと入れ替わって、船の中に猿《ましら》のように飛び込んで行く。そしてまだ死に切らない鱈《たら》の尾をつかんで、礫《こいし》のように砂の上にほうり出す。浜に待ち構えている男たちは、目にもとまらない早わざで数を数えながら、魚を畚《
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