もっこ》の中にたたき込む。漁夫たちは吉例のように会社の数取《かずと》り人に対して何かと故障を言いたててわめく。一日ひっそりかん[#「ひっそりかん」に傍点]としていた浜も、このしばらくの間だけは、さすがににぎやかな気分になる。景気にまき込まれて、女たちの或《あ》る者まで男といっしょになってけんか腰に物を言いつのる。
しかしこのはなばなしいにぎわいも長い間ではない。命をなげ出さんばかりの険しい一日の労働の結果は、わずか十数分の間でたわいもなく会社の人たちに処分されてしまうのだ。君が君の妹を女たちの群れの中から見つけ出して、忙《せわ》しく目を見かわし、言葉をかわす暇もなく、浜の上には乱暴に踏み荒された砂と、海藻《かいそう》と小魚とが砂まみれになって残っているばかりだ。そして会社の人夫たちはあとをも見ずにまた他の漁船のほうへ走って行く。
こうして岩内じゅうの漁夫たちが一生懸命に捕獲して来た魚はまたたくうちにさらわれてしまって、墨のように煙突から煙を吐く怪物のような会社の製造所へと運ばれて行く。
夕焼けもなく日はとっぷり[#「とっぷり」に傍点]と暮れて、雪は紫に、灯《ひ》は光なくただ赤くば
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