]だった。君はひとりになると、だんだん暗い心になりまさるばかりだった。
 それでも夕飯という声を聞き、戸のすきから漏れる焼きざかなのにおいをかぐと、君は急に空腹を感じだした。そして腰に結び下げた弁当包みを解いてストーブに寄り添いながら、椅子《いす》に腰かけたままのひざの上でそれを開いた。
 北海道には竹がないので、竹の皮の代わりにへぎ[#「へぎ」に傍点]で包んだ大きな握り飯はすっかり[#「すっかり」に傍点]凍《い》ててしまっている。春立《はるだ》った時節とは言いながら一日寒空に、切り株の上にさらされていたので、飯粒は一粒一粒ぼろぼろに固くなって、持った手の中からこぼれ落ちる。試みに口に持って行ってみると米の持つうまみはすっかり奪われていて、無味な繊維のかたまり[#「かたまり」に傍点]のような触覚だけが冷たく舌に伝わって来る。
 君の目からは突然、君自身にも思いもかけなかった熱い涙がほろほろとあふれ出た。じっ[#「じっ」に傍点]とすわったままではいられないような寂寥《せきりょう》の念がまっ暗に胸中に広がった。
 君はそっと座を立った。そして弁当を元どおりに包んで腰にさげ、スケッチ帳をふと
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