心はよくわかっていたし、君はまた君で、自分はきれいにあきらめながらどこまでも君を芸術の捧誓者《ほうせいしゃ》たらしめたいと熱望する、Kのさびしい、自己を滅した、温《あたた》かい心の働きをしっくりと感じていたからだ。
 君ら二人の目は悒鬱《ゆううつ》な熱に輝きながら、互いに瞳《ひとみ》を合わすのをはばかるように、やや燃えかすれたストーブの火をながめ入る。
 そうやって黙っているうちに君はたまらないほどさびしくなって来る。自分を憐《あわ》れむともKを憐れむとも知れない哀情がこみ上げて、Kの手を取り上げてなでてみたい衝動を幾度も感じながら、女々《めめ》しさを退けるようにむずかゆい手を腕の所で堅く組む。
 ふとすすけた天井からたれ下がった電球が光を放った。驚いて窓から見るともう往来はまっ暗になっている。冬の日の舂《うすず》き隠れる早さを今さらに君はしみじみと思った。掃除《そうじ》の行き届かない電球はごみと手あかとでことさら暗かった。それが部屋《へや》の中をなお悒鬱《ゆううつ》にして見せる。
 「飯だぞ」
 Kの父の荒々しいかん走った声が店のほうからいかにもつっけんどんに聞こえて来る。ふだんから
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