をはたしたと言ってもいいような芸術である。芸術家というものの立場より言うならば第一の種類の人は最も敬うべき純粋な芸術家であり、第二の種類の人は、芸術家としては、いわゆる素人《しろうと》芸術家をもって目さるべきものであり、第三の種類の人は悪い意味の大道芸人とえらぶ所がない人である。
ところで、私自身は第一の種類に属する芸術家でありうるかというのに、不幸にしてそうではない。私は常に自分の実生活の状態についてくよくよしている。そして、その生活と芸術との間に、正しい関係を持ちきたしたいと苦慮している、これが私の心の実状である。こういう心事をもって、私はみずからを第一の種類の芸術家らしく装うことはできない。装うことができないとすれば、勢い「宣言一つ」で発表したようなことを言わねばならぬのは自然なことである。「宣言一つ」には、できるだけ平面的にものを言ったつもりだが、それでもわからない人にはわからないようだから、なおいっそう平面的に言うならば、第一、私は来たるべき文化がプロレタリアによって築き上げらるべきであり、また築き上げられるであろうと信ずるものである。ブルジョアジーの生活圏内に生活したもの
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