ぼうじま》のような影にして落としていた。色さまざまな桜の落ち葉が、日向《ひなた》では黄に紅《くれない》に、日影では樺《かば》に紫に庭をいろどっていた。いろどっているといえば菊の花もあちこちにしつけられていた。しかし一帯の趣味は葉子の喜ぶようなものではなかった。塵《ちり》一つさえないほど、貧しく見える瀟洒《しょうしゃ》な趣味か、どこにでも金銀がそのまま捨ててあるような驕奢《きょうしゃ》な趣味でなければ満足ができなかった。残ったのを捨てるのが惜しいとかもったいないとかいうような心持ちで、余計な石や植木などを入れ込んだらしい庭の造りかたを見たりすると、すぐさまむしり取って目にかからない所に投げ捨てたく思うのだった。その小庭を見ると葉子の心の中にはそれを自分の思うように造り変える計画がうずうずするほどわき上がって来た。
それから葉子は家の中をすみからすみまで見て回った。きのう玄関口に葉子を出迎えた女中が、戸を繰る音を聞きつけて、いち早く葉子の所に飛んで来たのを案内に立てた。十八九の小ぎれいな娘で、きびきびした気象らしいのに、いかにも蓮《はす》っ葉《ぱ》でない、主人を持てば主人思いに違いないの
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