ような事でもあったら、倉地を大丈夫つかむ事ができると何がなしに思い込んで、しかもそれを実行した迷信とも妄想《もうそう》ともたとえようのない、狂気じみた結願《けちがん》がなんの苦もなくばら[#「ばら」に傍点]ばらにくずれてしまって、その跡にはどうかして貞世を活《い》かしたいという素直《すなお》な涙ぐましい願いばかりがしみじみと働いていた。自分の愛するものが死ぬか活《い》きるかの境目《さかいめ》に来たと思うと、生への執着と死への恐怖とが、今まで想像も及ばなかった強さでひし[#「ひし」に傍点]ひしと感ぜられた。自分を八つ裂《ざ》きにしても貞世の命は取りとめなくてはならぬ。もし貞世が死ねばそれは自分が殺したんだ。何も知らない、神のような少女を……葉子はあらぬことまで勝手に想像して勝手に苦しむ自分をたしなめるつもりでいても、それ以上に種々な予想が激しく頭の中で働いた。
 葉子は貞世の背をさすりながら、嘆願するように哀恕《あいじょ》を乞《こ》うように古藤や倉地や愛子までを見まわした。それらの人々はいずれも心痛《こころいた》げな顔色を見せていないではなかった。しかし葉子から見るとそれはみんな贋物《に
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