敷いた。そうしてしばらくの間その上に静かにすわって目をつぶってみた。それからまた立ち上がって全く無感情な顔つきをしながら、もう一度|戸棚《とだな》に行って、倉地が始終身近に備えているピストルをあちこち[#「あちこち」に傍点]と尋ね求めた。しまいにそれが本箱の引き出しの中の幾通かの手紙と、書きそこねの書類と、四五枚の写真とがごっちゃ[#「ごっちゃ」に傍点]にしまい込んであるその中から現われ出た。葉子は妙に無関心な心持ちでそれを手に取った。そして恐ろしいものを取り扱うようにそれをからだから離して右手にぶら下げて寝床に帰った。そのくせ葉子は露ほどもその凶器におそれをいだいているわけではなかった。寝床のまん中にすわってからピストルを膝《ひざ》の上に置いて手をかけたまましばらくながめていたが、やがてそれを取り上げると胸の所に持って来て鶏頭《けいとう》を引き上げた。
 きりっ[#「きりっ」に傍点]
 と歯切れのいい音を立てて弾筒が少し回転した。同時に葉子の全身は電気を感じたようにびりっ[#「びりっ」に傍点]とおののいた。しかし葉子の心は水が澄んだように揺《ゆる》がなかった。葉子はそうしたまま短銃を
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