合ったいさかい[#「いさかい」に傍点]がともすると葉子の家で繰り返されるようになった。ひとりになって気がしずまると葉子は心の底から自分の狂暴な振る舞いを悔いた。そして気を取り直したつもりでどこまでも愛子をいたわって[#「いたわって」に傍点]やろうとした。愛子に愛情を見せるためには義理にも貞世につらく当たるのが当然だと思った。そして愛子の見ている前で、愛するものが愛する者を憎んだ時ばかりに見せる残虐な呵責《かしゃく》を貞世に与えたりした。葉子はそれが理不尽きわまる事だとは知っていながら、そう偏頗《へんぱ》に傾いて来る自分の心持ちをどうする事もできなかった。それのみならず葉子には自分の鬱憤《うっぷん》をもらすための対象がぜひ一つ必要になって来た。人でなければ動物、動物でなければ草木、草木でなければ自分自身に何かなしに傷害を与えていなければ気が休まなくなった。庭の草などをつかんでいる時でも、ふと気が付くと葉子はしゃがん[#「しゃがん」に傍点]だまま一茎の名もない草をたった[#「たった」に傍点]一本摘みとって、目に涙をいっぱいためながら爪《つめ》の先で寸々《ずたずた》に切りさいなんでいる自分を
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