てすぐその目を返して、遠ざかった倉地をこめて遠く海と空との境目にながめ入った。
 「わたしあなたとゆっくり[#「ゆっくり」に傍点]お話がしてみたいと思いますが……」
 こう葉子はしんみり[#「しんみり」に傍点]ぬすむようにいってみた。木部は少しもそれに心を動かされないように見えた。
 「そう……それもおもしろいかな。……わたしはこれでも時おりはあなたの幸福を祈ったりしていますよ、おかしなもんですね、ハヽヽヽ(葉子がその言葉につけ入って何かいおうとするのを木部は悠々《ゆうゆう》とおっかぶせて)あれが、あすこに見えるのが大島《おおしま》です。ぽつん[#「ぽつん」に傍点]と一つ雲か何かのように見えるでしょう空に浮いて……大島って伊豆《いず》の先の離れ島です、あれがわたしの釣《つ》りをする所から正面に見えるんです。あれでいて、日によって色がさまざまに変わります。どうかすると噴煙がぽーっ[#「ぽーっ」に傍点]と見える事もありますよ」
 また言葉がぽつん[#「ぽつん」に傍点]と切れて沈黙が続いた。下駄《げた》の音のほかに波の音もだんだんと近く聞こえ出した。葉子はただただ胸が切《せつ》なくなるのを覚
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