しくもありますけれども、そんなものはわたしには来はしません……春にでもなって来るとよけい世の中はむなしく見えてたまりません。それをさっきふと愛子さんに申し上げたんです。そうしたら愛子さんがお泣きになったんです。わたし、あとですぐ悪いと思いました、人にいうような事じゃなかったのを……」
こういう事をいう時の岡はいう言葉にも似ず冷酷とも思われるほどたださびしい顔になった。葉子には岡の言葉がわかるようでもあり、妙にからんでも聞こえた。そしてちょっとすかされたように気勢をそがれたが、どんどんわき上がるように内部から襲い立てる力はすぐ葉子を理不尽《りふじん》にした。
「愛子がそんなお言葉で泣きましたって? 不思議ですわねえ。……それならそれでようござんす。……(ここで葉子は自分にも堪《た》え切れずにさめざめと泣き出した)岡さんわたしもさびしい……さびしくって、さびしくって……」
「お察し申します」
岡は案外しんみり[#「しんみり」に傍点]した言葉でそういった。
「おわかりになって?」
と葉子は泣きながら取りすがるようにした。
「わかります。……あなたは堕落した天使のような方です。御
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