って行く奔放な放埒《ほうらつ》な醜行を訴えたに違いない。葉子の愛子と貞世とに対する偏頗《へんぱ》な愛憎と、愛子の上に加えられる御殿女中|風《ふう》な圧迫とを嘆いたに違いない。しかもそれをあの女に特有な多恨らしい、冷ややかな、さびしい表現法で、そして息気《いき》づまるような若さと若さとの共鳴の中に……。
勃然《ぼつぜん》として焼くような嫉妬《しっと》が葉子の胸の中に堅く凝《こご》りついて来た。葉子はすり寄っておどおどしている岡の手を力強く握りしめた。葉子の手は氷のように冷たかった。岡の手は火鉢《ひばち》にかざしてあったせいか、珍しくほてって臆病《おくびょう》らしい油汗が手のひらにしとどににじみ出ていた。
「あなたはわたしがおこわいの」
葉子はさりげなく岡の顔をのぞき込むようにしてこういった。
「そんな事……」
岡はしょう事なしに腹を据《す》えたように割合にしゃん[#「しゃん」に傍点]とした声でこういいながら、葉子の目をゆっくり[#「ゆっくり」に傍点]見やって、握られた手には少しも力をこめようとはしなかった。葉子は裏切られたと思う不満のためにもうそれ以上冷静を装ってはいられなかっ
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