の御本と一緒にもお手紙が来たはずね」
 愛子はすぐまた立とうとした。しかし葉子はそうはさせなかった。
 「一本一本お手紙を取りに行ったり帰ったりしたんじゃ日が暮れますわ。……日が暮れるといえばもう暗くなったわ。貞《さあ》ちゃんはまた何をしているだろう……あなた早く呼びに行って一緒にお夕飯のしたくをしてちょうだい」
 愛子はそこにある書物をひとかかえに胸に抱いて、うつむくと愛らしく二重《ふたえ》になる頤《おとがい》で押えて座を立って行った。それがいかにもしおしおと、細かい挙動の一つ一つで岡に哀訴するように見れば見なされた。「互いに見かわすような事をしてみるがいい」そう葉子は心の中で二人《ふたり》をたしなめながら、二人に気を配った。岡も愛子も申し合わしたように瞥視《べっし》もし合わなかった。けれども葉子は二人がせめては目だけでも慰め合いたい願いに胸を震わしているのをはっきり[#「はっきり」に傍点]と感ずるように思った。葉子の心はおぞましくも苦々《にがにが》しい猜疑《さいぎ》のために苦しんだ。若さと若さとが互いにきびしく求め合って、葉子などをやすやすと袖《そで》にするまでにその情炎は嵩《こう
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