された不快をかすかに物足らなく思うらしい表情をして、
 「それは洋行する前、いつぞや横浜に一緒に行っていただいた時くわしくお話ししたじゃありませんか。それはわたしどなたにでも申し上げていた事ですわ」
 「そんならなぜ……その時は木村のほかには保護者はいなかったから、あなたとしてはお妹さんたちを育てて行く上にも自分を犠牲にして木村に行く気でおいでだったかもしれませんがなぜ……なぜ今になっても木村との関係をそのままにしておく必要があるんです」
 岡は激しい言葉で自分が責められるかのようにはらはらしながら首を下げたり、葉子と古藤の顔とをかたみがわりに見やったりしていたが、とうとう居たたまれなくなったと見えて、静かに座を立って人のいない二階のほうに行ってしまった。葉子は岡の心持ちを思いやって引き止めなかったし、古藤は、いてもらった所がなんの役にも立たないと思ったらしくこれも引き止めはしなかった。さす花もない青銅の花《か》びん一つ……葉子は心の中で皮肉にほほえんだ。
 「それより先に伺わしてちょうだいな、倉地さんはどのくらいの程度でわたしたちを保護していらっしゃるか御存じ?」
 古藤はすぐぐっ[
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