る山内《さんない》の木立《こだ》ちの姿を嘆賞した。
「それにしてもどうしてあなたはここを……倉地から手紙でも行きましたか」
岡は神秘的にほほえんで葉子を顧みながら「いゝえ」といった。
「そりゃおかしい事……それではどうして」
縁側から座敷へ戻《もど》りながらおもむろに、
「お知らせがないもので上がってはきっといけないとは思いましたけれども、こんな雪の日ならお客もなかろうからひょっとか[#「ひょっとか」に傍点]すると会ってくださるかとも思って……」
そういういい出しで岡が語るところによれば、岡の従妹《いとこ》に当たる人が幽蘭女学校に通学していて、正月の学期から早月《さつき》という姉妹の美しい生徒が来て、それは芝山内の裏坂に美人屋敷といって界隈《かいわい》で有名な家の三人姉妹の中の二人であるという事や、一番の姉に当たる人が「報正新報」でうわさを立てられた優《すぐ》れた美貌《びぼう》の持ち主だという事やが、早くも口さがない生徒間の評判になっているのを何かのおりに話したのですぐ思い当たったけれども、一日一日と訪問を躊躇《ちゅうちょ》していたのだとの事だった。葉子は今さらに世間の案外
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