はありませんか。
 葉子さん、あなたの心に空虚なり汚点なりがあっても万望《どうぞ》絶望しないでくださいよ。あなたをそのままに喜んで受け入れて、――苦しみがあればあなたと共に苦しみ、あなたに悲しみがあればあなたと共に悲しむものがここに一人《ひとり》いる事を忘れないでください。僕は戦って見せます。どんなにあなたが傷ついていても、僕はあなたをかばって勇ましくこの人生を戦って見せます。僕の前に事業が、そして後ろにあなたがあれば、僕は神の最も小さい僕《しもべ》として人類の祝福のために一生をささげます。
 あゝ、筆も言語もついに無益です。火と熱する誠意と祈りとをこめて僕はここにこの手紙を封じます。この手紙が倉地氏の手からあなたに届いたら、倉地氏にもよろしく伝えてください。倉地氏に迷惑をおかけした金銭上の事については前便に書いておきましたから見てくださったと思います。願わくは神われらと共に在《おわ》したまわん事を。
  明治三十四年十二月十三日」
[#ここで字下げ終わり]
 倉地は事業のために奔走しているのでその夜は年越しに来《こ》ないと下宿から知らせて来た。妹たちは除夜の鐘を聞くまでは寝ないなどと
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