せた)……あの方が今木村さんに成りかわってわたしの世話を見ていてくださるのよ。木村さんからお頼まれになったものだから、迷惑そうにもなく、こんないい家まで見つけてくださったの。木村さんは米国でいろいろ事業を企てていらっしゃるんだけれども、どうもお仕事がうまく行かないで、お金が注《つ》ぎ込みにばかりなっていて、とてもこっちには送ってくだされないの、わたしの家はあなたも知ってのとおりでしょう。どうしてもしばらくの間は御迷惑でも倉地さんに万事を見ていただかなければならないのだから、あなたもそのつもりでいてちょうだいよ。ちょく[#「ちょく」に傍点]ちょくここにも来てくださるからね。それにつけて世間では何かくだらないうわさをしているに違いないが、愛さんの塾《じゅく》なんかではなんにもお聞きではなかったかい」
「いゝえ、わたしたちに面と向かって何かおっしゃる方《かた》は一人《ひとり》もありませんわ。でも」
と愛子は例の多恨らしい美しい目を上目《うわめ》に使って葉子をぬすみ見るようにしながら、
「でも何しろあんな新聞が出たもんですから」
「どんな新聞?」
「あらおねえ様御存じなしなの。報正新
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