の声だけがおごそかに聞こえていた。葉子と貞世とは恋人のように抱き合いながら、アーメンという声の一座の人々からあげられるのを待って室《へや》にはいった。列座の人々はまだ殊勝らしく頭をうなだれている中に、正座近くすえられた古藤《ことう》だけは昂然《こうぜん》と目を見開いて、襖《ふすま》をあけて葉子がしとやかにはいって来るのを見まもっていた。
 葉子は古藤にちょっと目で挨拶《あいさつ》をして置いて、貞世を抱いたまま末座に膝《ひざ》をついて、一同に遅刻のわびをしようとしていると、主人座にすわり込んでいる叔父《おじ》が、わが子でもたしなめるように威儀を作って、
 「なんたらおそい事じゃ。きょうはお前の送別会じゃぞい。……皆さんにいこうお待たせするがすまんから、今五十川さんに祈祷《きとう》をお頼み申して、箸《はし》を取っていただこうと思ったところであった……いったいどこを……」
 面と向かっては、葉子に口小言《くちこごと》一ついいきらぬ器量なしの叔父が、場所もおりもあろうにこんな場合に見せびらかしをしようとする。葉子はそっち[#「そっち」に傍点]に見向きもせず、叔父の言葉を全く無視した態度で急に晴
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