だかそうらしくも思えた。それともあすの船出の不吉を告げる何かの業《わざ》かもしれない。木村との行く末の破滅を知らせる悪い辻占《つじうら》かもしれない。またそう思うと葉子は襟元《えりもと》に凍った針でも刺されるように、ぞくぞくとわけのわからない身ぶるいをした。いったい自分はどうなって行くのだろう。葉子はこれまでの見窮められない不思議な自分の運命を思うにつけ、これから先の運命が空恐ろしく心に描かれた。葉子は不安な悒鬱《ゆううつ》な目つきをして店を見回した。帳場にすわり込んだ内儀《かみ》さんの膝《ひざ》にもたれて、七つほどの少女が、じっ[#「じっ」に傍点]と葉子の目を迎えて葉子を見つめていた。やせぎすで、痛々しいほど目の大きな、そのくせ黒目の小さな、青白い顔が、薄暗い店の奥から、香料や石鹸《せっけん》の香につつまれて、ぼんやり浮き出たように見えるのが、何か鏡の破《わ》れたのと縁でもあるらしくながめられた。葉子の心は全くふだんの落ち付きを失ってしまったようにわく[#「わく」に傍点]わくして、立ってもすわってもいられないようになった。ばかなと思いながらこわいものにでも追いすがられるようだった。

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