に傍点]わからない。僕は兄が彼女を選んだ自信に驚く。しかしこうなった以上は、兄は全力を尽くして彼女を理解してやらなければいけないと思う。どうか兄らの生活が最後の栄冠に至らん事を神に祈る」
[#引用文ここまで]
こんな文句が断片的に葉子の心にしみて行った。葉子は激しい侮蔑《ぶべつ》を小鼻に見せて、手紙を木村に戻《もど》した。木村の顔にはその手紙を読み終えた葉子の心の中を見とおそうとあせるような表情が現われていた。
「こんな事を書かれてあなたどう思います」
葉子は事もなげにせせら笑った。
「どうも思いはしませんわ。でも古藤さんも手紙の上では一枚がた男を上げていますわね」
木村の意気込みはしかしそんな事ではごまかされそうにはなかったので、葉子はめんどうくさくなって少し険しい顔になった。
「古藤さんのおっしゃる事は古藤さんのおっしゃる事。あなたはわたしと約束なさった時からわたしを信じわたしを理解してくださっていらっしゃるんでしょうね」
木村は恐ろしい力をこめて、
「それはそうですとも」
と答えた。
「そんならそれで何もいう事はないじゃありませんか。古藤さんなどのいう事――古
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