に冷然と尻目《しりめ》にかけた。
 葉子はほんとうをいうと、必要に従うというほかに何をすればいいのかわからなかった。
 葉子に取っては、葉子の心持ちを少しも理解していない社会ほど愚かしげな醜いものはなかった。葉子の目から見た親類という一群《ひとむ》れはただ貪欲《どんよく》な賤民《せんみん》としか思えなかった。父はあわれむべく影の薄い一人《ひとり》の男性に過ぎなかった。母は――母はいちばん葉子の身近《みぢか》にいたといっていい。それだけ葉子は母と両立し得ない仇敵《きゅうてき》のような感じを持った。母は新しい型にわが子を取り入れることを心得てはいたが、それを取り扱う術《すべ》は知らなかった。葉子の性格が母の備えた型の中で驚くほどするすると生長した時に、母は自分以上の法力を憎む魔女のように葉子の行く道に立ちはだかった。その結果|二人《ふたり》の間には第三者から想像もできないような反目と衝突とが続いたのだった。葉子の性格はこの暗闘のお陰で曲折のおもしろさと醜さとを加えた。しかしなんといっても母は母だった。正面からは葉子のする事なす事に批点を打ちながらも、心の底でいちばんよく葉子を理解してくれた
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