それが見る間に拡がって上昇を始め、たちまち山も谷も辺り一面を包んでしまうこともある。だが、普通は南々西の方に雲ができて、それがだんだん南風に運ばれてきては知らぬ間に消えているうちしばらくすると上空が白く曇ってくる。こうなれば全く天候は崩れてきた訳である。朝焼けのするのは上空が曇っている証拠であるから、朝焼けも荒天の前兆である。そしてこの上空にできた雲はすぐ下ってきて雪になる。
以上の二つの場合を連絡してみると、雪の降り方がだんだん減って、雲が薄くなり始め――全く雲や霧が消えて晴天になり――中空にポーッと綿のような雲ができてそろそろ天候が崩れ始め――上空が白く曇ってくると、もう全く天候は崩れてすぐ雲は下って雪を降らすということになる。だから最初の雲や霧が薄くなり出して隙間に青空の見え出したときに登山を開始するのが最も安全な訳である。
雪崩について
降雪――普通降り始めは湿雪でだんだん乾燥雪に変って降雪が止む。雪質が乾燥しているほど雪崩れやすく、また風等の外力の影響を感じやすい。しかも雪崩の速度も早く、傾斜のないところまで飛んで行って被害を及ぼすものである。だから降り始めよ
前へ
次へ
全233ページ中229ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
加藤 文太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング