なおも懐中電灯の光をたよって下って行くうち、とうとう左へ巻くところでシュプールを見失ってしまった。後戻りするのは厄介と思ってそのまま下ったら、川の岸はひどい藪の上、急斜面で河原へ下るのは大変困った。朝の出発をもう一時間早くすれば、ここで迷うことはなかったであろう。河原は随分広く川は一部分流れているだけであった。
徒歩は一度しただけで一カ所は丸木橋があった。やっと左岸の林の中でシュプールを見つけ、難なく平《たいら》の日電の小屋へ着くことができた。ここには三人合宿しておられて、いろいろと御馳走をして下さった。温泉に入ったり、ラジオを聞いていたりすると全く黒部谷の中とは思われないほどである。
[#地から1字上げ]一月四日 雪 平の日電小屋 滞在
昨日の晩は星がキラキラとひどく瞬いていたが、日電の人が気圧計を見て明日は雪ですよと言った通り、朝早くから雪がドンドン降っている。滞在ときめていろいろ山の様子を聞く。この平の日電の小屋は社宅で登山者を泊めてはいけないのだが、僕は一人でもあり、随分遅くやってきたので、気の毒だと思って泊めてくれたので、前のパーティは平の小屋で泊っていたそうだ。そして
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