れそうである。もし冬期も寝具が置いてあるなら二、三日くらい泊ってスキーの練習をしたいところである。小屋から斜め左にしばらく滑ってゆるい谷を渡り、鳶山二六一四メートルから一九五一・五メートルへ下った東尾根へ取付き、この尾根をドンドン下る。
初めのうちは木もまばらな広い尾根でとても愉快な滑降を楽しめたが、漸次尾根は細くなり、左側は急に落ちているので右側ばかり巻かねばならず、そのうえ今日は冬には稀な良いお天気だったため、雪が溶けて夕方にはブレーカブル・クラストに変化してきたうえ、大晦日《おおみそか》の雨はこの附近もひどかったらしく、木の根元に大孔を穿《あ》けているので思うように飛ばせない。一九五一・五メートルの手前の刈安峠には、四日ほど前に通ったパーティ(登山者一、案内二)のシュプールがかすかに残っている。一行は一ノ越から御山《おやま》谷を途中まで下り、二〇五〇メートルくらいの尾根を越して中の谷へおり、のちここへ登ってきたものであろうと思う。その後はこのシュプールに沿って下れるが、雪はますますひどいクラストに変り、かつ夕闇はせまってきて峠を半分も下らないうちに足元も見えなくなってきた。
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