の手頃な斜面か溝谷を登る方がよい。
一四一四・八メートル附近は伐採されたものか木もまばらな真白い平原である。この平原をしばらく進んで行くとまたブナ林が現われ、その中を一時間も登ると称名ノ滝の音がドウドウと足元から響いてくる。尾根もやや狭くなり、針葉樹の目立つところを過ぎるとこんどこそ実に広々とした真白な斜面が現われる。これが一六一二メートルの三角点のすぐ下である。
これを登り切ればすぐ目の前に弘法小屋が見える。しかし今日は霧が深く遠くは見えない。晴れた日ならとてもよい眺めで、南の方には弥陀ヶ原の広い高原を隔て大きく胸を張った薬師岳が実に雄大に見えるし、東の方には鳶山、鷲岳、鬼―竜王、天狗、別山等が見え、大日―早乙女等とともにアーベント・グリューエンに燃えている雄大な景色は立山に登った者に忘れ得ない印象を与える。
弘法の小屋にはいつでも水が出ているので、中へ入ってコッヘルで甘納豆をたき昼食をする。小屋には寝具、燃料、食糧等備っているので、ここを根拠地として立山へ登ったり、附近の高原をスキーで逍《さまよ》い歩くのは実に楽しくよいところである。そのうえ随分荒れている日でもここからなら安
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