全に下山することができるので、追分や天狗平の小屋より安心である。
冬期は多く西風が吹くのでそれに向って山を下ってくるのは大変で、ちょっと荒れても室堂や天狗平から出ることができない。弘法の小屋を出て左に浅い谷を見下しながら一五分も進むと、丈の低い針葉樹がまばらに生えた三メートルほどの坂がある。ここを過ぎてしばらく行くと右側に浅い谷が現われてくる。こんどはこの右の谷に沿って進めば一時間半ほどで追分の小屋へ着く。雪は割合しまっていてラッセルは弘法までにくらべるとずうっと楽であった。
弘法までは樹が繁っているので二月頃には随分深いことがある。追分の小屋には富山電気局の一行が泊っていた。一行も立山へ登ろうと思ってきたのだが、昨日、今日と二日も天気が悪いので諦めて、もう今日は山を下ろうと思いそこまで出たのだが、霧のため方向もわからず今引返したところだと言っていた。しかし天気は全く良い方に変っていて、霧もだいぶ薄くなってきたし、ところどころ青空さえ見える。で、僕は「天気はもうじき良くなりますよ、なんなら僕と一緒に天狗平の小屋へ行きませんか」と誘ってみた。けれど一行はコンディションの悪い人もあるの
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