全部これを伝っていたらよほど楽であったに違いないと思った。もちろんスキーで登るなら夏道の谷が第一だと思う。この尾根も最後は少し傾斜が急で岩も出ていたが、危険を感じるようなところではなかった。そして観測所の少し東の台地へ登ることができた。観測所には電灯が煌々と輝いていて、まるでよく開けたスキー温泉場のような感じがした。非常に疲れていたので早速観測所に入って、食糧も寝具も持っていますが泊めてもらえませんかと技師の人に頼んでみたが、気象台長の許可がないと泊められないとのことだった。それでも死にそうなほど苦しんでいる場合にはやむを得ず泊めるともいわれた。これはいつもの如く、僕の気がきかないために起った失敗らしく、太郎坊あたりで電話でも掛けてよく頼んでおけばこんなことにはならなかったに違いない。あるいはまた一緒に途中まで登った観測所の人にだけでも話しておいたらよかったであろうが、どうやら案内もつれず一人で登ったということが皆の気に入らなかったらしく、やがてそれが頂上の人々へ電話で報告されたものであろう。しかしそれとても僕がもっともっと努力して一生懸命に頼んでいたら、決して泊めないとはいわなかった
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