であろう。何事によらず最後の五分間だけでも必死になって努力したならば必ずや光明を見出しうるに違いない。
やむなく観測所の番人梶さんの世話で富士館というのに泊ることにきめ、しばらく休ませてもらったうえ、懐中電灯までお借りして出かけた。富士館は一月《ひとつき》ほど前、鈴木伝明一行が使用したためか壁板がめくってあったので楽に入ることができた。館内には寝具等なんにも無いが、雪があまり入っていないのが何よりだった。大変疲れていたためか食事をしてもすぐもどしてしまった。室内温度は零下十二度くらいだったのに非常に寒く感じた。
やがて昭和八年の元旦がやってきた。初日の出を慕って午前六時剣ヶ峰へ向う。外は強い西風が吹きまくっている。間もなく剣ヶ峰へ立つことができたが南の山すら雲に被われていて、楽しみにしていた北の山は少しも見ることができなかった。しかし東の空はよく晴れていて――午前六時四十分――雲の上から出る初日の出は実に荘厳の極であった。
お鉢廻りをして観測所へよると、技師の方々が「昨日はどうも失礼をした」といって、お正月の御馳走を次から次へと出すので少なからず僕は驚いた。大変御馳走になったうえ
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