憶をたどってあちこち探してみたが、どうもわからない。雪に埋れていたのかもしれないが、別石の囲いのしてある小屋跡らしいものもあったから、その後こわれてなくなったのだろうときめてしまった。笠ヶ岳の頂上には大きなケルンが三つほどあった。その一つの中に名前を書いた紙を記念に挾んでおいた。だいぶ引返して抜戸岳とのコルでコッヘルを使用して夕食をした。缶詰の牛肉と甘納豆で、殊に甘納豆はうまかった。そこからちょっと歩いたところでひょっと懐中電灯を取落したら、見る見る打込谷の方へ転び出して、大変な勢いで飛んで行ってしまった。やっと止ったことは止ったが、随分下の方なので、一時は捨てて行こうと思った。しかし真暗ではとても歩けないので、思い返して谷底の光をたよりに下って行った。幸い岩場もなく、斜面もあまり急ではなかったからよかったが、雪が柔くなってからもなおだいぶ転んでいて登りには相当時間を食った。抜戸岳を越して、例のカール状の谷を下りきってから、コッヘルを使ってレモン・ティをこしらえながらしばらく休んだ。そのとき懐中電灯が急にぱっと消えてしまった。電球の線が切れたようなので、新しいのと換えてみたがそれでもつ
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