への登りは案外時間を食った。やはりここは夏のように横を巻いて、笠ヶ岳へつづく尾根へ出た方がよいだろう。双六の小屋は、今年は雪の少ないためか、あるいは風の吹き廻しによるものか、遠目ながら大部分露出して見えた。しかも近年相当に修繕を加えたらしく、新しい木の色がしていた。この附近はすばらしい斜面が多く、眺望も実によいところだから、スキーをしながら二、三日くらい遊んでみたいと思った。樅沢岳をくだってから抜戸岳《ぬけどだけ》へ取付くまでは、尾根が殊に広く、雪も思ったほどかたくないのでスキーを使えば面白そうである。途中二五八八・四メートル峰の南のコルから左俣谷へはすばらしい斜面がつづいていた。抜戸岳へ取付く雪の壁はちょっと凄く見えたが、かかってみれば案外簡単であった。そこは夏道のついているカール状の谷で、両側には岩の尾根が走っている。抜戸岳には左俣側へ向って、のぞくこともできないほど大きな雪庇がつづいている。しかし反対側の打込谷に向った斜面はゆるく、雪もかたいので案外楽であった。抜戸岳から笠ヶ岳までの尾根は平凡で、雪庇もあまり出ていなかった。この日は笠ヶ岳の小屋へ泊る予定だったので、四年前の夏の記
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