かない。電池も新しいのと換えてみたりしていろいろ苦心をし、だいぶ考えた結果他の所に故障ができたのだと思って諦めてしまった。後で新しい電球も切れていることがわかったが、そのときはマッチの火で調べてみて、二つとも切れているようには見えなかった。それでもう一つほんとに新しいのがあったのにつけてみなかったのは残念だった。それからは雪あかりをたよりにしてゆっくり歩いた。幸いお天気がよいので遠山もぼっと見えて迷うこともなく無事に二五八八・四メートル峰の南のコルまで歩けた。ここでまたレモン・ティをこさえながら早く夜があければよいと思ってゆっくり休んだ。その頃は夜中より温度が上ったので変だと思っていたら、夜があけてみると空はいつの間にか曇っている。そのうえ東の空は朝焼けをしているし、殊に西の方、白山の上空は一面に薄黒い雲に覆われているので、天候が崩れ出していることがわかった。やがてあたりの空気も湿っぽくなってきて、前唐沢岳を越した頃にはばらばらっと霙《みぞれ》が落ちてきた。そして霙は間もなく雪に変って、あたりの山さえぼっと霞んでしまった。大急ぎで進んで行ったが、睡眠不足と過労のため思うように歩けなかっ
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