のやうに筒茶※[#「※」は「上が「夕+ふしづくり」+下が「皿」」、第3水準1−88−72、読みは「わん」、11−7]を目的として造られたものかどうか――これとて何かの器物だつたのが、用途において轉用されたのかもしれない。要するに日常雜器の所謂安物とて一朝一夕に生れてきたものではない。
【土瓶の葢】
とにかく、器物の形の發達だけみても面白いものだが、その形が時代を背景にしてゐるといふことを必らず念頭に置いて居れば、十錢の古土瓶をみても、一個の土瓶の葢《ふた》だけ見ても興味が湧くのである。※[#「※」は「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28、12−4]畫(B)圖[#「B圖」省略]は土瓶か壺かの葢に造られたものであらうが、出來が惡かつたとみえて捨てられてゐた。それを古窯發掘の際掘出したものである。この葢一枚に就てみても形のおもしろさはたつぷりある。第一葢をロクロで挽いて、それにうねり[#「うねり」に傍点]をつけ、つまみ[#「つまみ」に傍点]をつけてゐる。このつまみ[#「つまみ」に傍点]一つでも今日の人が平氣で手輕につけるわけにはゆかないほどいゝものである。それを昔
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