らあるやうだが元均窯といふ名で知れてゐる。これも美くしいもので寶玉のやうな感じがする。

     〔繪高麗〕

 日本でいふ繪高麗、實は支那磁州窯の白釉に鐵砂で文樣を描いたもの、それを稱してゐる。宋代に出來た繪高麗は形もいゝし文樣も濶達で、第一白釉の其の白――乳白といふ字を使つていゝのか、こつくり[#「こつくり」に傍点]した白で實にいゝ。その白を生地として現はれた文樣が黒や茶で、その黒も極めて氣品のある黒色である。文樣の暢達自由なこと、古今その比を見ずといつても過言でないと思ふ。
 青磁の時、言ひ忘れたが宋代の高臺は、特にいゝ形をしてゐる。この影響は日本の瀬戸系の古いところに見ることが出來るが、宋代の高臺だけみてゐても一種の亢奮を覺える。
 こゝには繪高麗に就ていつたが宋代には各種各樣の陶を燒いてゐる。白、黒、柿、緑。釉の外赤繪までやつてゐる。宋赤繪の高雅なことは人の知るところ、乳白釉の上に赤や緑で牡丹文などを描いてゐるのを見かけるが、滋味津々たるもの、但しキヅものでも買はないと非常に高價なものである。たゞ繪高麗風の磁州系統のものは、近頃出土品が多くなつたので、割合に安價に求むること
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