ら、「断ったのなら、写真も返しそうなものですけど、あれはもう少し借りときたいと言ってるんですから」
「もう少し借りときたいって?」媼さんも幾らか思い返したようで、「そうすると、お断りなすったわけでもありませんかね」
「そうですとも」と言って、お光はそっと帯の上を撫《な》でる。
「けれど、いつまで待ってくれとおっしゃるのだか、それも分らないのでしょうねえ。あれも来年は二十でございますからね、もう一だの二だのという声がかかった日にゃ、それこそ縁遠いのがなお縁遠くなりますからねえ」
「阿母さんもまあ! 何ぼ何だって、そんなに一年も二年も待たされてたまるもんですか。ですからね、向うの話は向うの話にしておいて、ほかにまた話がありゃそれも聞いて見て、ちっとでもいい方へ片づけてお上げなさりゃいいじゃありませんか」
「そんなにどこから話があるものですか」
「阿母さんはじきそんなことをお言いだけど、お仙ちゃんのようなあんないい娘《こ》を……誰だって欲しがるわ。私もまだほかにも心当りがあるから、その方へも談して見ましょう。今度のもそれは悪くはないけど何しろ船乗りという商売はあぶない商売ですからね、それにど
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