法を聞いて来るように」
「は、じゃ行って来ましょう……姉さん、ゆっくり談していらっしゃいな、私じき行って来ますから」とお仙は立って行く。
 格子戸の開閉《あけたて》静かに娘の出て行った後で、媼さんは一膝進めて、「どうでございましょう?」
「少しね、話が変って来ましてね」
「え、変って来ましたとは?」と気遣わしそうに対手を見つめる。
「始めの話じゃ恐ろしく急ぎのようでしたけど、今日の口振りで見ると、まず家でも持って、ちゃんと体も落ち着いてしまって、それからのことにしたいって……何だかどうも気の永い話なんですよ」
「ですが、家をお持ちなさるぐらいのことに、別に手間も日間も要らないじゃございませんか」
「それがなかなかそうは行かないんですって。何しろこれまで船に乗り通しで、陸《おか》で要る物と言っちゃ下駄一足持たないんでしょう、そんなんですから、当人で見るとまた、私たちの考えるようにゃ行かないらしいんですね」
「ですがねえ。私なぞの考えで見ると、何も家をお持ちなさるからって、暮に遣《つか》う煤掃《すすは》きの煤取りから、正月飾る鏡餅《かがみもち》のお三方《さんぼう》まで一度に買い調えなきゃな
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