織だけは着更《きか》えて絹縮《きぬちぢみ》の小紋の置形、束髪に結って、薄く目立たぬほどに白粉をしている。
「お仙ちゃん、どうぞもうかまわずにね、お客様じゃないんだから」
「え、何にもかまやしないことよ」
「かまいたくも、おかまい申されないのでございますからね」と媼さんは寂しげに笑う。
「でも、この間伺った時にゃ大層御馳走になってしまって……」と今さらに娘の縹致を眺めて、「本当に、お仙ちゃんはいつ見ても美しいわね」
「あら、厭な姉さん!」
「だって、本当なんだもの。束髪も気が変っていいのね」
「結いつけないから変よ」
媼さんが傍から、「お光さんこそいつ見ても奇麗でおいでなさるよね。一つは身飾《みだし》みがいいせいでもおありでしょうが、二三年前とちっともお変りなさいませんね」
「変らないことがあるものですか、商売が商売ですし、それに手は足りないし、装《なり》も振りもかまっちゃいられないんですもの、爺穢《じじむさ》くなるばかりですのさ」
「まあ、それで爺穢いのなら、お仙なぞもなるべく爺穢くさせたいものでございますね……あの、お仙やお前さっきの小袖を一走り届けておいでな、ついでに男物の方の寸
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