は何の用だい?」
「へい、お客様で……こないだ馬の骨を持って来たあの人が……」
「何、馬の骨だって?」と新造。
「いいえ、きっとあの金さんのことなんですよ」
「ええ、その金さんのことなんで」
「金さんだなんて、お前なぞがそんな生意気な口を利くものじゃない!」
「へい」
お光は新造に向って、「どうしましょう、ここへ通しましょうか?」
「ここじゃあんまり取り散らかしてあるから、下の座敷がいいじゃねえか」
「じゃ、とにかく座敷へ通しましょう」とお光が立ちかかると、小僧は身を返してバタバタと先へ下りて行く。
店先へ立ち迎えて見ると、客は察しに違《たが》わぬ金之助で、今日は紺の縞羅紗《しまらしゃ》の背広に筵織《むしろお》りのズボン、鳥打帽子を片手に、お光の請ずるまま座敷へ通ったが、後見送った若衆の為さんは、忌々《いまいま》しそうに舌打ち一つ、手拭《てぬぐい》肩にプイと銭湯へ出て行くのであった。
金之助は座に着くとまず訊ねた、「どうだね、新さんの病気は?」
「どうも相変らずでね」
「やっぱり方々が疼くんだね?」
「はあ。どうかその疼くだけでも留ったらとそう思うんだけどね……自分も苦しいだろう
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