は引き取るか貢ぐかしなけりゃならないのだが、まあ大抵の男は、そんな厄介《やっかい》附きは厭がるからね」
「そうさ、俺にしても恐れらあ。だが、金さんの身になりゃ年寄りでも附けとかなきゃ心配だろうよ、何しろ自分は始終留守で、若い女房を独り置いとくのだから……なあお光、お前にしたって何だろう、亭主は年中家にいず、それで月々仕送りは来て、毎日遊んで食って寝るのが為事としたら、ちょいとこう、浮気の一つも稼いで見る気にならねえものでもなかろう」と腰をさすりさすり病人|厭言《いやごと》を言う。
 お光は済ましたもので、「そうね、自分がなって見ないことにゃ何とも分りませんね」
 と、言っているところへ、階子段《はしごだん》の下から小僧の声で、「お上さん、お上さん」
「あいよ。何だね、騒々しい!」
「お上さん!」
「あいよったら!」
 小僧はついにその返事が聞えなかったと見えて、けたたましく階子段を駈け上って来て、上り口からさらに、
「お上さん!」
「何だよ! さっきから返事をしてるじゃないか」
「そうですか」と小僧は目をパチクリさせて、そのまま下りて行こうとする。
「あれ、なぜ黙って行くのさ。呼んだの
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