北總の十六島
大町桂月
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「さんずい+眉」、第3水準1−86−89]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ばら/\松
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利根川の下流、霞ヶ浦の末と相會する處、十六島は今ひとつに成りたれども、水路縱横、烟霞縹渺、白帆相望み、漁歌相答へ、名たゝる三社、屹として水※[#「さんずい+眉」、第3水準1−86−89]に鼎立す。三社とは、香取祠、鹿島祠、息栖祠、是れ也。
高天原より下りて、一劍天下を風靡し、餘威を常總のはてまでも及ぼし給ひたる二大偉人の、武甕槌命は鹿島に鎭し、經津主命は香取に鎭せらる、げに尊くも又なつかしき神靈の地なる哉。
明治三十四年の春の暮、學友羽衣、烏山二子と共に、この地に遊びぬ。われ二子と同じく學びの窓を出でてより既に五年、その間たゞ衣食の資を得るに急にして、一も得たる所なし。學窓を出でし時、五年たちても斯く碌々たるべしとは思はむや。五年前、學
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