豐島ヶ岡
大町桂月

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「にんべん+同」、第3水準1−14−23]

 [#…]:返り点
 (例)孤村至[#レ]暁曉猶燈火

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)よく/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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江戸川の終點にて下り、目白臺を左にし、小日向臺を右にして、音羽八町を行き盡くせば、護國寺の門につき當る。そこを豐島ヶ岡と稱す。一帶の丘陵、樹木欝蒼として秀色掬すべし。殊に音羽の道路の坂ともつかずに次第々々に高まること、他に其比を見ず。門前より牛込を見渡してもはれ/″\しく、音羽の入口より豐島ヶ岡の秀色を仰ぐの風致は、げに都の中にもと驚かるゝばかり也。
 豐島ヶ岡は、一に墳墓の岡とも云ふべくや。豐島御陵は、皇族御埋骨の地也。護國寺には、三條公、山田顯義を始め、墳墓多し。陸車埋葬地は、入營中に死せる兵士を葬る處、墓も規則正しく行列す。西に雜司ヶ谷埋葬地あり。
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