て、あさげをものす。家の娘にやあらむ、まめ/\しくたちはたらくさまの可愛らしきが、一目眇して、よそのみる目も心苦し。ふと見上ぐる神棚の上に、一個の達摩の片目を白盡せるは、子故に祈る親心のやみにや。東京上りの汽車つきければ、たち立でて、汽車に乘りけるに、かの少女きたりて、忘れ物とて、さし出すを見れば、八鹽のいでゆにて我におくりたる團扇なり。凉しさならずして、何に忘れたる團扇ぞや。[#地から1字上げ](明治三十一年)
底本:「桂月全集 第二卷 紀行一」興文社内桂月全集刊行會
1922(大正11)年7月9日発行
入力:H.YAM
校正:門田裕志、小林繁雄
2008年8月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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