南洲留魂祠
大町桂月
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#二の字点、1−2−22]
[#…]:返り点
(例)願留[#二]魂魄[#一]護[#二]皇城[#一]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)薫風や/\
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明治四十年六月三十日、第十一回目の文藝講演會を牛込の演藝館に開き、演説終りて、同所に小宴を催し、夜の十時過ぎに散會したるが、和田垣博士に要せられて、小日向臺なる其家にいたる。博士は、博識多才、一代に超絶す。洋畫や、日本畫や、書や、古物や、一々實物に就いて説明せらる。謠曲をもうたはる。終に手風琴をとり出し、曾て小栗風葉來りし時、奏して聞かせしに、風葉感じ入りて涙をおとしたることありき。今その曲を君等の爲にとて、一曲を奏す。如何にぞや、涙はこぼれぬかといふ。されど、かなしや、音樂を聞く耳をもたず。所謂馬耳に東風なるもの也。ありのまゝに、その由を言へば、さらば、今一つ奏せむ、耳を澄まして聞
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