獨笑記
大町桂月

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#二の字点、1−2−22]

 [#…]:返り点
 (例)下戸不[#レ]知[#レ]藥

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)よし/\
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舊友の婚禮の宴に臨みて、夜をふかし、大に醉ひて歸り來り、翌日午前十時頃、起き出づれば、二日醉の氣味也。今日中に、二十五六枚ばかり起草すべき約束あり。されど、このやうな頭の具合にては、筆は執れず、執れてもろくなものは出來ず。これと思ふ問題も捉へて居らず。仕方なし、今一睡して、身體の具合を回復してからとて、微醉を求めて布團をかぶり、眠りかけむとせしに、急ち玄關に『大町君』と大呼す。宮崎來城の聲のやうなりと思ふ間もなく、來りて座に上る。果して、其人也。足掛三年にて、再び相逢ひたる也。二三日前上京し、一兩日の後、歸郷せむとす、今夜は、とめて貰ひたし、まづ酒を出せといふ。酒未だ出でず。松本道別飄然として來たる。裁判所よ
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