新武藏野の櫻
大町桂月
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「睹のつくり/火」、第3水準1−87−52]
[#…]:返り点
(例)竹惹[#二]春愁[#一]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)然り/\
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相手は變れど、主は變らず。昨、夜光命の手にせし四合入の瓢箪、今日は十口坊の手に在り。裸男は例の三合入の瓢箪を手にして、新宿の追分より、京王電車に乘る。線路をはじめは甲州街道に沿ひしが、やがて舊玉川上水に沿ふ。沿ふより間もなく、天神橋の手前の右に近く可なり大なる銀杏あり。凡そ二抱へもあらむと思はるゝ一本の幹の、二三丈上よりは、數十百條となりて直立す。裸男、十口坊を顧みて、『あれ見よ、一種無類の銀杏に非ずや』と云へば、『然り/\』と云ふ。『竹箒に似たらずや』と云へば、『當れり/\』[#「『當れり/\』」は底本では「『當れり/\」]と云ふ。『箒銀杏と命名したらば如何に』と云へば、『好からむ』
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